シンポジウム等

1)特別招待講演1

  演 題 視覚を通して世界を知る脳の働きを探る
  講演者 小松 英彦(玉川大学)
  司 会 村上 郁也(東京大学)
  要 旨 視知覚の神経機構の生理学的研究は、「物理的な存在としての世界」と、「心の中に生み出される現象としての知覚」という二つのものがどのようにつながっているかを知るための一つの有効な手段である。しかし、この試みを実際に進めて意味のある答えを得ようとすると、実験条件に様々な制約を課して、得られた脳活動データを解釈可能なものとする必要がある。そのような制約の中で、複雑な現実世界の中で生じる知覚の仕組みに手がかりを得るために、これまで行ってきたマカクザルの視覚野を中心とした研究のいくつかを紹介したい。


2)特別企画 「遺伝子・分子ツールを用いた心理学の展開」 

  総合司会 宮川 剛(藤田保健衛生大学)

 第1部:シンポジウム1

  演 題 光遺伝学的手法を用いた触知覚とその記憶のメカニズムの解明
  講演者 村山 正宜(理化学研究所)
  要 旨 脳内における皮膚感覚の知覚(触知覚)メカニズムには未だ不明な点が数多く残っています。例えば、脳内のどの回路が知覚に関連するのか、回路間での情報の流れおよびどの神経活動が知覚の内容を表すのか等はまだ解明されていません。近年、我々は光遺伝学的手法を用いた回路操作により、触知覚に必須な脳回路の同定に成功しています。この回路を選択的に抑制すると、マウスは正確な触知覚が得られません。例えば、ツルツルした床とザラザラした床とを区別できなくなります。また我々は、この回路が睡眠中にも活性化することを発見しています。ノンレム睡眠(深い眠り)中にこの回路を抑制すると、触知覚の記憶が阻害されます。本講演ではこれら知見の概要を紹介するとともに、触知覚のセントラルドグマの解明に向けた取り組みを紹介します。

  演 題 脳内中間表現型:遺伝子と行動をつなぐためのキーコンセプト
  講演者 宮川 剛(藤田保健衛生大学)
  要 旨 演者らは20種類程度のテストを含む「網羅的行動テストバッテリー」を用いて、これまでに200近い系統の遺伝子改変マウスの行動を評価してきた。この中で、活動性や作業記憶、社会的行動などの顕著な異常を示す系統を複数同定することに成功している。これらのマウスの脳を網羅的遺伝子・タンパク発現解析、組織学的解析、電気生理学的解析など各種の手法で調べたところ、ヒトの精神疾患患者の脳で報告されている現象と酷似した表現型が確認された。本講演では、遺伝子改変マウスを用いた精神疾患の研究を例にとりつつ、遺伝子・脳・行動の関係について考えてみる。

 

 第2部:特別招待講演2

  演 題 記憶の物理化学的実体
  講演者 井ノ口 馨(富山大学)
  要 旨 記憶は経験時に活動した特定の神経細胞集団(記憶エングラム)として符号化され、何らかのきっかけでその記憶エングラムが再び活動するとその記憶が想起されます。私たちはここ数年、記憶の連合(関連づけ)のメカニズムの解明に取り組み、記憶の連合は記憶エングラム細胞の共有化が担っており(Yokose et al, Science, 2017)、記憶のアイデンティティは二つの記憶に共有されているエングラム細胞上に存在する異なるシナプスが担っていること(Abdou et al, Science, 2018)などを明らかにしました。本講演ではこれらの知見を基に、記憶の物理化学的実体についてお話しします。

 

3)第10回錯視・錯聴コンテスト授賞式(シンポジウム2)

  第10回錯視・錯聴コンテスト審査委員会

  委員長 北岡 明佳(立命館大学)
  審査委員:蘆田 宏,原島 博,一川 誠,中島 祥好,杉原 厚吉,高島 翠
  (敬称略,委員長以外はアルファベット順)

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